バンブーロッドメイキング開始編

火入れについて

始めたばかりではありますが、火入れの一般的な話しと私の考えや体験で記します
火入れや焼き入れという事をよく耳にしますが、高温で短時間と低温で長時間という意見に別れるようです
比較的共通してる意見は水分を飛ばすという目的である事は確かなようです
わずかながらの知識の中で、和竿に比べバンブー素材の竹は乾燥にも年月を掛けるようです
これは和竿は比較的肉薄のパイプ状であり乾燥目的はこの採取した後の乾燥で充分とも考えられるようにも解釈出来ます
バンブー素材と和竿の素材の違いは厚い無垢の竹という事ではないでしようか?
つまり乾燥にも時間が掛かるから乾燥という目的で火入れが行われているのだと感じました
和竿などでよく見られる焼き入れというものは直火で炙る事が多いようです
これはバンブーで例えるなら高温で短時間という意見に近いと思いますし、当然曲り修正を繰り返すと必要最小限な火入れはされるとも思います
当然バンブーにもフレーミングという和竿の焼き入れに近い直接バーナーで炙る事もよく行われているようです
通常この処理をする場合、火入れとは別にするようです

[竹割り〜ラフプレーン〜節ずらし〜バインディング]
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[寸法決め〜フェルール取付〜フェルールすり合わせ]
[塗装〜フラッピング全般]

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オーブン作製

さて、いよいよ火入れの準備に入る 新たに購入したのは煙突素材と温度計
以前薪ストーブを使っていた事もあり、ちょっと専門用語(笑)
まずストレートパイプは『直』と呼び通常3尺の90センチ、『半直』というのがその半分
曲りに使う部分は『エビ』出口に使うのが『H』と今回は使いませんが

PHOTO 温度計は散々探したが、天ぷら鍋に付属してる油温計
天ぷら鍋ごと買っても1000円程度
200度近くまで測れるものは通常殆どない
車の油温計はもっと正確だと思うが1万円くらいになってしまうし、150度くらいが最大目盛り
煙突は直で1000円以下、半直はその7割くらい
フタは自作も考えたがT字のパイプに付属しているので同時購入、やはり同じくらいの金額
その他、パイプ固定の台はリジットラックで代用、通常ウマと呼ばれる自動車工具
火力源は写真のガスコンロに、既に紹介済みのブンセンバーナーやカセットコンロなど、念のため消化器も(笑)
また金網は熱伝導するので耐火ボードを500円で購入しパイプ直径の10センチよりわずか少ない9センチにノコギリで切ってパイプ内の竹を置く台にする
この作業時間は10分程度だったが
まず、写真の状態で左右にフタをし、直接煙突を過熱するが両脇の穴から温度測定すると100度くらいしか上がらない
中心部にしか熱が加われていないようだ
PHOTO 熱量が足りないのか計測が両脇という事もありT字のパイプを両脇に連結
両脇の下から2個のブンセンバーナーで炙るが、今度は逆に両脇しか温度が上がらない
結局、中央の温度が下がるためにさらに下から炙るに(写真)
何とか一般的な焼き入れ温度になり、早速焼き入れ開始!
しかし、煙突のシールが焦げて煙りが出たと思っていたら
ナントせっかくここまでやったラフプレーンの竹が炭になってしまった...
PHOTO 直接火を入れるのは危険?
今度はカセットコンロを加え4つのコンロで煙突を過熱する
耐火ボードの熱伝導も不安になり煙突に穴を開け、ついでに煙突に測定用の穴も開ける
その穴から針金でフックを吊るし竹を固定、針金と煙突は耐火ボードで熱伝導を防ぐ
もう失敗は許されないから、試すのは竹割りで失敗した細い竹に簡単に糸を巻きシュミレーション
温度も180度を超え一見安定したと思ったのたが、しかし、この方法だと煙突内の過熱した空気が殆ど動かない?
コンロ付近の表面温度が温度測定値に無関係に上がるのか、焦げてムラ焼けになった
PHOTO 考え方を変えて、再度両脇の下から2個のブンセンバーナーで炙り、再度煙突内に直接過熱作戦に変える
断熱材で放熱を防ぎ、早く温度を上げれば火による空気の流れも出て安定するのではないか?という考えである
使用した断熱材は建築用のグラスウールをハサミでカットし、アルミホイルで巻き、アルミテープ止めるという実験的な手段
ブンセンバーナーの火力や酸素調整で150度以下なら温度差は10度程度に保たれるのだが、いざ160度以上げようとすると温度差は20度以上になる
温度差を無くすためには送風装置が必要という事になった

ここまで順調に来ていたのが、ただ単に竹の水分を飛ばすという事に異常に時間を費やす事になってしまった
しかも、こんな事をしてる間に解禁となってしまった...

送風装置作製

いろいろ考えるも、ここまで道具やらいろんなものにホームセンター程度では入手に困難であった
今度は送風装置作製だが、ここはあまり強い送風は火が踊る事もありサーキュレーター的な考えで多少の送風がされればいいという考え
PHOTO 用意したのはオモチャ屋で事足りた
電池ケースにモーター、送風の問題はヒーター内部に設置しなければ外気の空気を送り込む 煙突内設置のため金属製のプロペラと言う事でオモチャの船用のスクリュー(笑)
両脇に2個作製し、電池以外の合計価格は1000円ほど
モーターとスクリューのジョイントはフレキシブルのスプリング
このスプリングが振れてしまうためにちょっと苦労する
これでパワーが足りないなら電池の寿命は短くなるが、ミニ四駆用のパイパワーモーターもある(笑)
この装置を左右のフタに設置し、早速シュミレーションするも、意外に温度は安定しない?
おかしい?と思ってみたら、げっ!スクリューが内部の熱で外れていた(汗)
おそらく低温のハンダ付けか何かで取り付けられたのだろう
プロペラは外れていないからシャフトを溶接かロウ付けするしかない...

ここまで来て妥協はしたくないのだが、すっかりこの章の本題を忘れていた事に気が付く
『必要限度の道具を作製中心に』だったじゃないのかな?
誰でも出来る可能性のあるビルディングに挑戦してるのだから溶接やロウ付けは?
例によって2本目の課題という事で今回のオーブン作製は見送りです(笑)

簡易オーブン作製と火入れ

PHOTO すみません、バンブービルディングを始めるためご覧の方、このページの火入れはここから参照してください(笑)
これは妥協の手段として考えていたんですが、簡単、確実、安全の三拍子揃った簡易オーブン
コンロで直接炙るため、また上記の失敗例もあり火を安定させるため100円ショップでセラミックの魚焼き用網を2個購入
さらに半直の煙突1本購入、フタはあるので、既に開いている穴をリーマでバットが楽に通るまで大きくし、温度測定の穴を3つ程開けただけ
後は針金で固定と製作時間はやはり20分程度といつものペースに戻って来た(笑)

やり方は和竿に使われてる手段に近いらしいが、過熱されたオーブン内部にゆっくり通す
温度はやはり安定させるのは難しいが、3箇所で測定しながらの焼き入れとなった
180度で10分程度という目安が多いようだが、実際ここまでのシュミレーションで何本も竹を燃やした
温度と時間の焼き加減は既に実戦勉強済み(笑)
素材は半直の長さの約倍、当然一度には過熱出来ないから、焼き入れ時間は太さにも寄るが1ピースに付き30分ほどとなった

火入れのあと書き

今回、オーブンの作製にこだわってしまったのも、結局妥協したのも火入れの難しさでした
例えば立派なオーブン買ったとしても、オーブン内の温度が例え一定であったしても、オーブン内に熱源があればバンブーの一部表面温度だけが部分的に上がる事も多いでしょう?
ローストビーフのように回転させ焼く必要もある気がするし、だったらヒートガンという温風作業にもなるでしょう?
でも、これはこれで吹き出し口の温度だけが高くなり温度が安定しない事も多いかと思います
3ピースならまだしも2ピースの長さだと一定な温度で火入れするには相当大掛かりなオーブンになると思います

火入れは温度的に料理のてんぷらやフライに近いので肉厚のあるトンカツで例えると
短時間の高温なら衣はからっと揚がるけど中は生焼け、低温でじっくり揚げたら中まで火は入りますがからっと上がりません
その対処法として二度揚げがあります、奥が深い火入れだけにフレーミングと水分飛ばしという両方の工程をするのがベターかと感じました
結局、今回フレーミングは後からになり簡単にしか出来ませんでしたが、火入れとは奥が深いのではなく基準というものがわからないというのが本当のところではないでしょうか?

プレーン〜バインダー作製につづく

- up date 2004.3.3 -

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